腰痛で悩んでいた50代の女性が来院されました。
全身の関節可動域を詳しく検査してみると左股関節に変形性股関節症とみられる運動制限(胡坐のポーズが十分にできない股関節の開排制限)がみられました。
左股関節の可動範囲は外転と外旋に加え伸展も制限がありましたが、正常範囲のマイナス10パーセント以内でした。
この女性はほんのひと月前まで週三回の割合でテニスを楽しんでいたそうです。
ところが腰椎になり、整形外科でレントゲン検査を受けたのですが腰椎の関節には医学的には問題になる状態ではないと診断されたのでした。
関節の運動には次の3段階があります。
1、自分の筋肉で動く範囲である自動運動。
2、そこからさらに負荷を加えて動く範囲であるたわみ運動。
3、たわみ運動の範囲からわずかに1度限界まで動く遊び運動。
この女性は自分で動く範囲は問題はないものの、2,3の運動範囲がほんの少し十分ではなかったのです。
全身の緩和操作の後に、上肢の関節(肩関節、ひじ関節、手関節)と下肢の関節(股関節、膝関節、足関節)の調整の後に脊椎と仙腸関節の調整をしました。
確かに左股関節の運動をかばう事からくる脊椎(頸椎、胸椎、腰椎)と骨盤(仙腸関節と腰仙関節)に弾力の異常が見られました。
この状態を放置すると、次第に中から関節が少しずつ破壊される恐れがあるので毎日行う腰椎肩こりケア体操を指導しました。
この女性の年齢だと大半が閉経と考えられますので、股関節をかばって腰痛になるケースやひざ痛になるケースをあります。
そして最終的に股関節の痛みを自覚して、最悪の場合、人工関節置換術を経験することになるのです。
最悪のシナリオを変えることができるのは自分しかいないことを十分時間をかけて説明しました。
そのためには毎日私が考案した腰痛肩こりケア体操が最適です。。
この体操のパターンは全部で58ありますが、慣れると10分程度でできるようになります。
しかしながら今回は最も重要な4種類のリハビリパターンを毎日行うように指導しました。
意志の弱いタイプの人間は、4パターンなら毎日できますが、よほどの意志力と覚悟がない限り58のフルパターンはできないようです。
今回指導したパターンは1分でできる3種類の運動と、回数が多くても7分以内でで終了するつかまり立ちで行うベンチスクワットの組み合わせですのでほとんどの患者さんが継続できるようです。
運動は軽い負荷で行っても、強い負荷で強くてもどちらも効果はあります。
最も大切なことは継続することなのです。
したがってどんなに素晴らしい内容だとしても継続しなければ効果はないのです。
今回の女性の患者さんは7回で症状がほぼ100パセント改善しましたが、左股関節の関節可動域を失わないためにひと月に1回程度の予防目的の通院をお勧めしました。
結果として腰痛肩こりケア体操を完全にマスターしましたので、体操をしても改善しないときにケアーを受けに来ることになりました。
脳科学の実験結果によると3週間毎日継続すると生涯習慣化することが確認されています。
残念ながら奇跡的に改善するなどといううまい話は存在しません。
われわれ人間の再生能力には限りがあるのです。
腰痛、背中の痛み、首の痛み、手足の関節の痛みを総称して関節の痛みといいます。
関節の痛みが起こる原因は次の要素です。
1、運動
2、姿勢
3,体重
4、感染
5、仕事
6、休養
この6種類の要素が適切であれば、関節の痛みが重症化することはありません。
何よりも大切なことは、予防の意識を持ち続けて予防体操の運動を継続することなのです。
そこに奇跡が生まれることは確実ななのです。