整形外科を受診する患者さんの80パーセントは腰痛とひざ痛です。

この傾向はもうしばらく続きますが、やがて上半身の関節の痛みの割合が多くなると考えられます。

その原因は、現在28パーセントである65歳以上の割合が増加することにほかなりません。

この10年で整形外科の手術の分野がより細分化されました。

現在では、肩関節、肘関節、手関節、股関節、ひざ関節、足関節、脊椎の関節の手術の専門医がわかれているうえにそれぞれの学会があるのです。

現代のIT社会は、比較、納得、購入の時代ともいえます。

スマホやパソコンで検索することで誰でも簡単に痛む関節の専門医を探すことができるようになりました。

しかしながら変形性関節症がわずか2パーセントの45歳未満に対し、その割合が65パーセントから83パーセントにまで急上昇していく65歳以上の高齢者は、生まれた時からITの時代ではありませんでした。

新型コロナワクチンの接種予約を電話でするか、ネット予約するかで考えればお分かりになると思います。

これまでの人生で必ずしも必要不可欠でなかったのですから当然ですね。

新聞やテレビの第二次情報をうのみにしてしまうのは本当に考えものです。

私も、みのもんたさんが司会を務めていた「思いっきりテレビ」と小倉智昭さんの「不思議な世界」に出演したことが在ります。

長時間かけて取材したのにもかかわらず、スポンサーのご意向の中の範囲の内容しか放送されませんでした。

私は全身には約206個の骨から構成される約200個の関節の8方向の弾力の検査と治療の専門家なのですが、残念ながら映像に映えるのはリハビリ体操ですので、番組は体操中心にまとめられてしまいました。

私が考案した関節ニュートラル整体は皮膚の上から骨を最大で1ミリ動かす操作を繰り返すことで、慢性的な関節の痛みを改善するケアーです。

患者さんはいた気持ちいい程度の刺激でいつの間にか症状が楽になるのです。

具体的に腰痛やひざ痛を例に解説します。

及川治療院の検査を簡単にご紹介します。

まづ最初に施術をする前に骨盤の幅に足を開いて立った状態で、前屈と後屈、左右側屈、左右回旋を比較します。

この動作で痛みがあるケースは筋肉のケガが考えられます。

反対にこの動作を超えた動き(たわみ運動と遊び運動)が悪いケースは伏臥位、側臥位、仰臥位での全身の関節の検査と調整と緩和操作を兼ねたケアーを行います。

整形外科的テストは仰臥位での関節の操作に組み込まれています。

それは次のようなものです。

前後開脚(ゲンズレンテスト)、横開脚(パトリックテスト)、左右の回旋(腰椎の側屈テスト)の検査に加え、ひざの裏を伸ばしたままで90度以上股関節を曲げるテスト(ストレートレッグレイジングテスト)とブラガードテスト(アキレスけんの拘縮と座骨神経痛の不具合の検査)は必ず行うべきです。

下半身の関節の弾力の検査と調整の後に、上半身の関節の検査と調整を行います。

そのあとに頚椎の関節の調整を行います。

次に座位での脊椎と肋骨や胸骨、肩甲骨と鎖骨などの検査と調整を行います。

最後は仙腸関節あるいは腰仙関節(脊椎分離すべり症のケースです)の検査と調整を行うことで関節の調整は終了です。

次に5分間程度のPNFを応用したリハビリ体操を行います。

拘縮がひどいケースは仰臥位で頚椎の調整が終了した後にリハビリを入れます。

重症でなければこの運動に加え、開脚、長座、胡坐で前屈して両肘がつくかを検査、調整します。

この態勢で行うリハビリは、症状が十分に改善された患者さんか、運動選手のみです。

このように運動には自動運動、たわみ運動、遊び運動の3段階があるので適切な検査と調整が必要なのです。

痛みを自覚する関節が拘縮(改善できる硬さのことです)しているのがそれ以外の関節をかばった結果動きすぎて痛むかは実際に動かしてみない限りわかりません。

そのうえで痛みの原因が関節自体なのか、筋肉や皮膚なのかを区別することも大切なのです。

私が敬愛するライフネット生命の創業者であり、APU学長である出口治明氏が口癖のように言う、縦、横、算数や数字、ファクト、ロジックで考えるを言い換えると次のようになります。

世界史(現在と過去を比較する)、地理(日本と他国を比較する)、数字で考えることで不安の大多数は軽減するものです。

患者さんを苦しめている症状が、完治できるか、改善するか、手術や化学療法で改善する見込みがあるかを冷静に見極める判断力を磨くこともこれからのセラピストに必要なのではないでしょうか。