交通事故によるむち打ち症が改善しない方と改善する方がいるのはどのような理由があるかについて書いてみます。
背中の関節を覆う膜は次の6種類に大別されます。
1、皮膚および皮下組織。
2、筋膜。
3、筋肉。
4、神経と血管。
5、軟骨や椎間板。
6、靱帯。
この中でも3か月以上経過しても改善しない患者さんの大半が、4の神経や血管(もやもや血管といって主に40歳以上で起きる異常な血管のこと)が原因なのです。
改善するためには痛みが現れている頸椎の治療だけでは十分ではありません。
結論を言います。
交通事故によるいわゆるむち打ち症が改善しない患者さんと改善する患者さんの体を詳しく比較して調べてみました。
その結果むち打ち症が改善しない患者さんは事故前の関節の可動域が正常でない方が大半でした。
これは首の痛みだけではなく、腰痛、背中の痛み、四肢の関節の痛みを訴える患者さんに共通しているのです。
ここでは腰痛のパターンについて具体的に解説します。
主に体幹の前屈に運動制限が起きる、腰椎椎間板ヘルニアは下肢後面の筋肉の拘縮(ハムストリングス、アキレス腱など)がひどく全体の95パーセントは全身の関節の柔軟性を改善することで症状は改善するのです。
反対に、主に体幹の後屈に運動制限が起きる、腰椎分離すべり症や腰部脊柱管狭窄症は下肢前面の筋肉の拘縮(大腰筋など)がひどく全体の95パーセントは全身の関節可動域のバランスを改善することで症状は確実に改善するのです。
言い換えると、ヘルニアや分離すべり症、狭窄症そのものが腰痛や下肢痛の原因であるケースは全体のわずか5パーセント以下ということになるのです。
捻挫の中でも最も軽いのが、回復までに7日を要する、いわゆるぎっくり腰や寝違えで損傷が起きる筋膜の損傷です。
次に回復までに28日を要する、筋肉の損傷である肉離れや神経痛(神経の損傷)があります。
最も重症な捻挫は、回復までに84日を要する、ヘルニアや狭窄症、分離滑り症といったものです。
これらの捻挫は成人病の持病がない限り回復までに要する経過日数は80パーセントが1週間、4週間、12週間かかるということなのです。
しかしながらむち打ち症という主に頸椎や上肢(腰椎や下肢に現れるケースも少なからずあります)に現れるケースにおいても全身の関節可動域のバランスが正常でないケースにおいては、それを改善しない限り症状が改善しないのは当然といえます。
及川治療院は、按摩・マッサージ・指圧の国家資格を保有するスタッフが常勤しています。(指圧の治療院として茨城県竜ケ崎市の保健所に開業届を出しています)
その為交通事故のケースは保険会社が認めたケースに限り、自賠責保険の適応になります。
ところが最近では全身の関節を調整することは許されていないのです(2部位までです)。
そこで書類上は2部位で請求していますが、実際には必ず全身の関節可動域の検査と調整を安全確実にに行っているのです。
もう一度繰り返します。
むち打ち症が改善しない原因は、症状が現れる部位の調整だけでは改善しないケースが大半です。
したがってセラピストの手間がかかったとしても、必ず全身の関節可動域のバランスを検査して調整する必要があるのです。
そして拘縮のひどい関節を改善するためには、手技療法とリハビリテーションを駆使することが必要なのです。