腰痛の最もありふれた原因は左右で合計10か所ある関節の弾力の異常です。
関節の運動には次の3段階があります。
1、自動運動(自分の筋肉で動く運動範囲)
2、たわみ運動(自動運動を超えて動く範範囲)
3、遊び運動(たわみ運動から限界まで動く運動範囲)
腰痛の中で自分で動いて痛むケースは1、の自動運動に不具合ですので筋肉あるいは筋膜の損傷(ケガ)と考えます。
いわゆるギックリ腰であれば回復までに1週間を要します。
筋肉に小さな穴が開いた空いた状態である軽い肉離れであれば、回復までに4週間(28日)を要します。
筋肉そのものが来てたケースは筋断裂といって回復までに12週間(3か月)かかります。
回復までに3か月を要する重傷な腰痛のうち主に前屈に支障が出てなおかつ下肢に痛みやしびれを伴うケースが腰痛椎間板ヘルニアです。
主に後屈に制限が出て下肢に痛みやしびれを伴うケースは、腰椎分離すべり症や腰部脊柱管狭窄症です。
それぞれのケースでも80パーセントは4週間が急性期です。
この時期は消炎鎮痛剤の服用が避けれないかもしれません。
ロキソニンやそれ以上に強力な消炎鎮痛剤の効果がある人は75パーセントです。
効果がなくて非常に苦しい思いをするケースでも80パーセントの患者さんは4週間で劇的に痛みが緩和するのです。
このようなケースを深く考えてみると、圧迫された脊髄神経そのものがほんの少しやせて圧迫が緩和するのではないかと考えられます。
その理由は原因とみられる狭窄症や椎間板ヘルニアそのものが全く改善されていないのにもかかわらず症状が改善するという現実があるからです。
検査の機械の進化で、今では造影剤を入れての3DCTなどでより詳しい検査データが得られるようになりました。
これによってMRIでは得られない情報が得られるのです。
しかしながら手術するかどうかが疑われない限り、必要以上の検査は避けることが賢明です。
CTの世界の3分の2を備えている日本では医療被曝が問題になっています。
国が定めた基準では、1週間にとっても安全とされるレントゲン写真は3枚。
ところがCTは3000枚のレントゲン写真を撮影した被ばく量を一日で浴びるのです。
造影剤を使用したCT となると6000枚のレントゲン写真を撮影した被ばく量となります。
これは年間被ばく量の限界量ですのでご注意ください。
残念ながら一度変形してしまった骨を元の状態に戻すことは不可能です。
一方で腰痛の原因である関節の弾力の異常はほとんどのケースで改善できます。
症状が改善した後に再びレントゲン検査を行ってみても骨の変形は改善していません。
また腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(内径が女性で14ミリ以下、男性で16ミリ以下のケース)自体も改善していないのにもかかわらず症状は改善するケースが大半です。
このような経験から言えることは、腰椎の前後屈の遊び、左右側屈の遊び、左右回旋の遊びを完全にすることで初めて腰痛は改善できるのです。
もちろん全身にある約206個の骨から構成される約200個の関節の遊びの保守点検が必要なことは言うまでもありません。。