いわゆる五十肩は改善できます。
しかしながら、平均すると80パーセントが1年という長い時間がかかるのです。
症状が回復するまでには最低でも3か月、最長で2年という長い時間が必要なのです。
このように長い時間がかかるのですが、全体の95パーセントは確実に,症状は改善しますのでご安心ください。
その中でも問題になるのは適切な対応を行わなかったグループの方です。
いわゆる五十肩は単なる老化現象ではありません。
老化であれば、時間が経過すると改善するということはないはずです。
ところが現実には95パーセントの方は時間の経過とともに症状は改善するのです。
しかしながら全身には約206個の骨から構成される約200個の関節が存在します。
健康であれば一つ一つの関節に8方向に1ミリずれて復元する弾力が存在するのです。
残念なことに安静にばかりしていると、この関節の弾力が失われてしまうのです。
肩関節の炎症が悪化するのは平均すると最初の4か月。
この時期を急性期といいます。
次の4か月は亜急性期といって症状はよくなったり悪化したりする時期なのです。
最後の4か月は慢性期なので、運動療法が効果が上がるのです。
リハビリテーションというと悪い関節を行うだけというのは適切とは言えません。
残存機能を正常にキープすることが何よりも大切なのです。
ご存知のように手足は4本ありますね。
第2次世界大戦の終戦までは日本人の平均寿命は50歳未満でした。
江戸時代までは30歳。
明治時代は40歳。
男性の平均寿命が初めて50歳に到達したのは昭和22年(1947年)。
65歳に到達したのは昭和36年(1961年)。
いわゆる五十肩という言葉ができたのは西洋医学が導入された明治時代なのです。
今では男女の平均寿命が80歳を超えました。
したがって、上肢だけではなく下肢のいわゆる五十肩的な現象も珍しくなくなったのです。
先日も85歳の受精の患者さんが右下肢の痛みで20年ぶりに来院されました。
主に前屈することで悪化する腰椎椎間板ヘルニアや後屈することで悪化する腰椎分離すべり症や腰部脊柱管狭窄症があるかどうかのテストを行いました。
動作で症状が悪化しないことから、この症状はいわゆる五十肩の足パターン(85足)だということを告げました。
この患者さんは鎮痛剤の飲み薬や、湿布を継続していましたが、ほとんど効果がないとのことです。
鎮痛剤は何にもないところから球に痛みが増したケースにはとても効果があります。
しかしながらいわゆる五十肩の症状は、常に痛みがあり夜になって冷えると症状が悪化するケースが大半です。
このような痛みの出方は、がんの患者さんに多いのです。
したがって鎮痛剤ではなく麻薬が有効なケースなのです。
座薬や飲み薬や点滴は血中濃度の上昇がないために、中毒になることはありません。
それに対し注射は中毒症状になるので要注意なのです。
このような危険性もあるので、日本では医療用麻薬の使用は慎重なのです。
ざっくり言うと80パーセントの患者さんは1年で症状が改善するので、悪化するのは6か月です。
次の6か月は回復に向かうので希望があるのです。
3か月で症状が改善したケースは、筋肉や神経、血管などの軟部組織が入れ替わる期間が3か月だからけるくすんだだけなのです。
それに対し骨が入れ替わるのは、2年です。
このようなケースは全体の5パーセント以下なのです。
44年の臨床経験から、3か月で症状が改善するケースは2年で症状が改善するケースと同じくらい少なくそれぞれ10パーセントです。
80パーセントが1年でそれを超える患者さんは10パーセントなのです。
回復までに1年の方は普通。
1年を超えた方は重症。
2年かかった方は超重症。
3か月であれば、軽症といえるでしょう。
私はこれまで超高齢者(85歳以上)の患者さんで、足(下肢)から始まって手(上肢)で終わったケースを確認した経験があります。
いずれにしてもこのような現象は全身の関節に起こるという認識が大切なのです。
全身の関節の弾力を予防改善することの大切さがお分かりいただけると幸いです。