腰痛で苦しむ患者さん(60歳男性)が来院されました。
まず最初に待合室から治療室に入る際の歩行を観察します。そこで中殿筋はこうが見られました。
中殿筋はこうとは、股関節の外転が十分でないために体幹を正常範囲を超えて側屈する異常な歩行のことを言います。
次に立位での関節可動域の検査を行いました。
そのあとで腹臥位での緩和操作、側臥位での緩和操作、仰臥位での手足の筋肉の緩和操作に続き、股関節の関節の調整を行いました。
そこで股関節の屈曲が正常な可動域(120度)に対して100度であることがわかりました。内転(30度)、外旋(45度)はほぼ正常でした。
この3種類の動作がいわゆる階段を上ったり、走ったりする際のひざを曲げながらの運動になるのです。
この男性は特にひざを曲げながらの股関節の屈曲には制限があるものの、ひざを伸展した状態での股関節の屈曲はほぼ正常でした。
したがって立位での体前屈(FFD)は床に手がついたのです。
制限のある股関節の屈曲に対し、伸展、外転、内旋は内旋を除き(正常値は45度ですが10パーセントマイナスの範囲でした)ほぼ正常でした。
下肢の関節の検査(ひざ関節、足関節)の後に、上肢の関節(肩関節、ひじ関節、手関節)の検査と調整を行いましたが、いずれもほぼ正常でした。
四肢の関節の検査と調整の後で、仰臥位での頚椎の調整、環椎後頭関節の調整を行い、次に立位での脊椎の調整を行いました。
このケースでは最後に仙腸関節の調整を行うのが適切でしたので、仙腸関節を整えて終了しました。
結論を言うと、この男性の患者さんが長引く腰痛を訴えた原因は、股関節の拘縮(硬直かもしれません)によるものでした。
このようなケースでは、患者さんの利益を第一に考えて治療計画をお伝えすることに徹底するのが及川治療院のルールです。
関節ニュートラル整体のケアーに反応したので、限界まで可動域の改善を図る調整を受けることをお勧めしました。
それから股関節の人工関節置換術の専門医の診察を受けることも必要になることもご説明しました。
現在では、仕事に支障がある場合は手術をお勧めしますが、術前と術後の適切なケアーとリハビリ(自分で毎日行える簡単なリハビリを指導しています)の大切さは言うまでもありません。
あくまでも患者さんとセラピストが心を一つにしてケアーを行うことが完治につながるのです。
したがって患者さんの不安を解消することを第一に考えて、治療計画のご説明をすることを肝に銘じているのです。