ぎっくり腰や寝違いは本当に痛いものです。
しかしながら回復に要する時間は、80パーセントがわずか1週間で済みます。
確かに、回復までに4週間を要する座骨神経痛や、肉離れと比較すると軽症です。
また回復までに12週間を要する、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症と比較するとさらに軽症といえます。
ぎっくり腰は発症して3日間はひどく痛いものの、わずか7日でうそのように回復してしまうため軽く見られがちです。
しかしながらこの段階で大騒ぎしたとしても、わずか1週間でいたみはきえてしまうので忘れてしまう方が大半でしょう。
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離すべり症、腰部脊柱管狭窄症などがない限り。、大半の方が再発するのは数年に1回です。
したがってぎっくり腰の原因である柔軟性の低下(特に下半身の筋肉の拘縮)は放置され、知らないうちに腰痛は重症化していくのです。
大切なことは腰痛のメカニズムを理解し軽症なうちに適切な対応をすることです。
今回はいわゆるぎっくり腰について解説します。
正式な名称は腰椎筋筋膜炎といいます。
ぎっくり腰の原因を開設する前に、背骨の痛みについて予防改善の観点から最低限必要と思われる予備知識をわかり易く書いてみます。
背中の関節をおおう膜は大別すると次のようなものです。 それは表面から、
1、皮膚および皮下組織。
2、筋膜。
3、筋肉。
4、神経と血管。
5、靭帯。
6、椎間板。
などです。
この中で最も痛みを感じるのが当然ながら皮膚です。
脊椎の最奥部にある脳の延長である脊髄を守るために、関節を覆う膜の中でもその組織の表面が敏感にできているのです。
例えると火災の延焼を防ぐ、防火シャッターの機能のようなものです。
注射をすると歴然とわかる事実ですが、最も痛みを感じるのが皮膚の表面なのです。
そして注射が深部に到達すると筋膜は痛みを感じますがすると、筋肉はほとんど痛みを感じません。
また骨膜は痛みを感じますが骨は痛みを感じないのです。
つまり損傷がより深部に到達することを防ぐために組織に表面は敏感にできているのです。
このような痛みの性質を考慮して、関節炎の重症化を予防改善するために私が考案した関節ニュートラル整体は、次の3本の柱から構成されています。
1、PNF(固有受容性神経筋促通手技)
2、モーションパルペーション&マニュピュレーション(動的触診法と手技療法、カイロプラクティックの最も優れたテクニックです。以下MPと省略します。 )
3、関節のゆがみを正し予防改善することを目的とした筋力トレーニング。
以上です。
この中でPNFは次の3種類の感覚器を刺激して回復を促す(促通)リハビリテーションです。
それはおもに
1、皮膚に存在する外受容性感覚器。
2、関節に存在する固有受容性感覚器。
3、内臓に存在するない受容性感覚器。
などを促通したり抑制して正常な回復力を促すテクニックです。
1940年代に考案された当時は、主に麻痺の患者さんを回復するための手段として注目されました。
この技術を慢性痛で苦しむ患者さんの改善のために応用したテクニックが、関節ニュートラル整体です。
また1895年(今から125年前)に誕生したカイロプラクティックも関節の痛みの完全だけに限定すれば有効なテクニックです。
しかしながら、いまだに病気の回復に効果があるという根拠のない迷信を信じているセラピストが存在するのは驚きです。
そんな方には、「代替医療解剖」の一読をお勧めします。
ホメオパシー、カイロプラクティック、針治療、瀉血療法、ハーブ療法、磁気療法、瞑想、祈りまであらゆる代替療法の効果を検証している貴重な本です。
その中でも関節の痛みには効果があるが、病気には効果がない代表がカイロプラクティックや、はり療法なのです。
代替医療解剖という本を書いた一人が、世界で初めてホメオパシーで学位をとったイギリスの代替医療の大学院の教授であるというから驚きです。
その方がホメオパシー(同毒療法)の効果は思い込み(プラシーボ効果)であるという研究結果を正直に述べています。
この本は検査する側と患者がともに検体がわからい状態で検査する二重盲検という信頼できる手法を用いて調査しています。
それだけに信頼に値する結果なのです。
結論を言うと、病気の検査は最初に信頼できる専門病院で行うのがベストであるということです。
そのうえで正規の医療の手立てがないケースであることを確信した上で、代替医療を受けるべきなのです。
つまり代替医療がその病気に対して思い込み程度の効果であったとしても害がなければ問題はないということです。
この順番が反対になると治る病気が手遅れになる危険が高まるのです。
もちろん私が考案した関節ニュートラル整体は、病気を改善する効果はありません。
しかしながら、痛みの原因である関節被膜の異常を根本改善する効果はあるのです。
関節の痛みの90パーセントは、関節を覆う膜の異常(弾力が正常でない状態)です。
結論を言うと、腰痛は軽症な状態で適切なケアーを受けることで完治するのです。
ぎっくり腰が癖になるというのは迷信です。
1年間で2回以上ぎっくり腰が起きる方は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症または腰椎分離すべり症がある方だけです。
これらの重症例も、関節の変形や奇形など腰椎の関節そのものに原因があるケースは全体のわずか5パーセント以下です。
大切なことは、手術が回避できない状態になるほど関節炎が悪化する前に予防することなのです。
このような理由で、ぎっくり腰を侮ってはいけないのです。