慢性的な痛みの原因の9割は、柔軟性の低下を放置したことが原因です。
いわゆる五十肩などで、肩関節の可動域が制限された状態を放置しても腰痛、背中の痛み、首の痛みが起きます。
僧帽筋を例にご説明します。
肩こりを訴える筋肉は僧帽筋上部です。この筋肉は肩から後頭部や頚椎に付着していますので、肩だけではなく、首の痛みや肩こり、緊張性頭痛の原因になります。
中部の僧帽筋は肩から肩甲間部の胸椎、下部は肩から腰椎や骨盤に付着していますので背中の痛みや腰痛を引き起こすことになるのです。
同様なことは捻挫を放置しても起きます。
いずれにしても柔軟性の低下を放置した結果、関節の動きを代償して腰痛や背中の痛み、首の痛みが起きるのです。
厄介なことは、ねんざや骨折を放置してもどれぐらいの期間でその部位の関節の痛みが起きるかは予測ができないのです。
ましてや痛めた関節の痛みの動きを代償して、離れた部位の関節の痛みがいつ起きるかとなると全く予測はできません。
しかしながら確実に言えることは、柔軟性の低下を放置するとほぼ確実にその部位だけではなく、腰痛や背中の痛み、首の痛みが慢性化することになるのです。
毎日記録をつけていない限り、1週間前に何を食べたかを覚えている人はいません。
ましてや3か月あるいは3年前のことになると記憶は不確かですね。
私が考案した関節ニュートラル整体は手技療法とリハビリテーションの応用発展形です。
治療の前後に筋力検査や整形外科的検査などは勿論、筋力テストや神経学テストなどのあらゆる検査を行います。
そのうえで、的確で安心安全な調整を行うのです。
私が開発した関節ニュートラル整体は検査と調整が表裏一体となった技術です。
43年の私の臨床経験上、関節の痛みとして現れる症状のうち、関節ニュートラル整体が適応でないケースは全体の5パーセント以下です。
初診時にはかならず、詳しい整形外科的検査や問診を行います。
当然ながら、その中で病気を疑うケースもあります。
関節ニュートラル整体で用いる手技は可動範囲が0・45ミリ以下です。
したがって異常があれば必ず可動域に改善が見られますが、いわゆる副作用は全く起きないのです。
そこで異常な反応があれば、躊躇なく適切な専門医をご紹介するのが及川治療院のルールです。
このようにしてあくまでも患者さんの利益を最優先に仕事をしているのです。
動いて痛ければ筋肉の痛み(自動運動)。
動いていたくなくても痛みがあれば関節の痛み(自動運動を超えたたわみと遊び)です。
私は患者さんに説明するうえで、専門用語を使用する場合はかならず言葉の定義や意味を丁寧に説明します。
そしてわかりやすくたとえ話でご説明させていただきます。
大切なことはお互いに納得した上で治療を進めることです。
毎日行うべき予防体操も、患者さんが継続可能な種類と強度に抑え指導しています。
自分自身が62歳になり、全盛期の体力がなくなって初めて患者さんの気持ちがわかるようになりました。
何よりも大切なことは、動きがおかしいとか、動いては何ともないが痛みがあるという状態を放置せず、適切な弾力の検査を受けることです。
症状が腰痛だとしても、必ず下半身の関節の弾力に異常があるのです。
また腰の上の関節(胸椎や頚椎)に異常があっても症状は腰痛だけの患者さんも珍しくないのです。
本人も忘れてしまっている、鎖骨の骨折や、いわゆる五十肩の後遺症で肩関節の可動域が正常に戻っていないケースもあります。
したがって何となくおかしいと思った時点で全身の関節の弾力の点検と調整を行うことがベストです。